坂下隧道01
(新)坂下隧道 又口側坑口
(戦前絵葉書より)

国道425号線の坂下隧道(三重県尾鷲市)には明治時代の内に新旧二つの隧道が開通しています。
旧隧道は又口川沿岸から産出される木材搬出のため明治33(1900)年に私設の道路として開通しました。当時の国内では自動車はおろか森林鉄道さえも十分に普及しておらず林道としての道路隧道は大変珍しく画期的な存在でした。しかしながらこの隧道は開通から間もなく尾鷲町側の取付道路が大崩落を起こし、復旧に際してより長大な新隧道の掘削が決定したことから、旧隧道は開通から僅か10年ほどで使命を終えました。

【(新)坂下隧道】
明治44(1911)年竣工
延長333.3m、幅員2.5m、高さ4.6m(制限高3.5m)


坂下隧道02
(新)坂下隧道 又口側坑口
(平成27年12月6日撮影)

そして、これが開通から100年以上経過した(新)坂下隧道の姿。戦前絵葉書と比較すると断面が縦長になっており、開通後に路面の掘下げ工事が行われている事が窺えます。
林道から始まった坂下隧道は県道・折立尾鷲線を経て昭和57(1982)年には国道昇格を果たした訳ですが、坂下隧道を含む尾鷲市~下北山村にかけての国道425号線(約40km)は、人口が希薄な山間部を通っているため改良工事は進展せず、坂下隧道に代わる新たなトンネルを求める声もありません。


坂下隧道03
坂下隧道の扁額
「坂下隧道 明治四十四年八月竣工」






坂下隧道04
天井が高くなっている貫通地点?

(新)隧道の洞内はごく一部だけ煉瓦が巻かれているものの大部分は素掘りのまま。掘削は両坑口から行われたため貫通点に誤差が生じ、その名残が現在でも天井部分に残っているそうです。同様の逸話は奥只見シルバーラインの17号トンネル等にもあります。


坂下隧道05
煉瓦による巻き立て箇所



坂下隧道06
(新)坂下隧道 尾鷲側坑口

こちら側の坑門は又口側と比べると日当たりが良い為か、植生によって扁額やデンティルが見えにくくなっています。また、坑門のアーチ環も鉄板で補強されていて完全とは言えない状態です。


坂下隧道07
尾鷲側坑口の全体像






坂下隧道08
坂下隧道周辺地図

廃止から100年以上が経っている(旧)隧道も、隧道自体には大きな綻びもないまま現存しており、こちらの方は近代土木遺産(Cランク)に指定されています。


坂下隧道09
(旧)坂下隧道 又口側坑口
(平成17年1月1日撮影)

平成17(2005)年には又口側の坑口前に土砂が堆積しているなど、旧坂下隧道に至る道筋は廃道状態でしたが、平成23(2011)年に地元住民の手によって整備され100年ぶりに通行可能になったという事です(参考記事)。

【(旧)坂下隧道】
明治33(1900)年竣工
延長61.8m
近代土木遺産Cランク


坂下隧道10
(旧)坂下隧道 尾鷲側坑口
(平成17年1月1日撮影)



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