アプトいちしろ駅01
アプト区間を通過する井川線の列車
(平成29年1月22日撮影)

先週(1/22)職場の同僚を連れて薩埵峠とアプト式で有名な大井川鐵道井川線の「アプトいちしろ駅」(静岡県榛原郡川根本町)に行って来ました。


アプトいちしろ駅16
アプトいちしろ駅周辺地図

アプト式とはラックレールと車両のギアを噛み合わせて駆動力を向上させるラック式鉄道の一種で、海外では急勾配を有する登山鉄道を始めとする路線で広く採用されている方式です。日本での採用例は少なく、明治26(1893)年に開業した信越本線の横川駅~軽井沢駅間(66.7‰)に国内唯一の例として採用されていたものの、同区間が輸送力増強のため昭和38(1963)年の新線開通を伴う粘着運転を実現すると日本におけるアプト式は途絶えました。
それから約30年が経過した平成2(1990)年に大井川鐵道井川線の一部が長島ダムによって水没する事になり、ダム堤体を迂回する付替新線には比較検討の結果、旧信越本線を上回る90‰のアプト式が採用され、日本国内のアプト式鉄道が復活する事になったのです。


アプトいちしろ駅17
信越本線のアプト区間(横軽線)を通過する列車
(昭和38年廃止)

横軽線の旧線跡は20年ぐらい前から遊歩道としての整備が始まり、平成29(2017)年現在では横川駅~熊ノ平駅跡まで約5.9kmがアプトの道として一般解放されています。




アプトいちしろ駅02
市代踏切から見たアプトいちしろ駅

アプト式鉄道の起点としては専用機関車の連結、保守点検の煩わしさ、低速度等によって輸送力が限定されてしまう事が挙げられます。幹線である横軽線ではこれらが大きな障害となっていた為、上記の通り昭和38(1963)年に粘着運転に移行した訳ですが、元より輸送量が少ない観光鉄道である井川線では、地中に潜る長大トンネルよりも新たな観光資源として積極的にアプト式を選択したのでしょう。この事はアプト区間の起点となる当駅の駅名に「アプト」を冠しているところからも想像できます。


アプトいちしろ駅03
市代踏切から見た15号トンネル

アプトいちしろ駅の南側には15号トンネルが口を開けており、坑口前の留置線にはアプト式機関車が留置されていました。この15号トンネルの北口がアプト新線と水没旧線の分岐点です。


アプトいちしろ駅04
(旧)16号トンネルから見た川根市代駅跡

アプトいちしろ駅は新線上に移設されたもので、旧線時代には現在の駅に近接する位置に川根市代駅が営業していました。川根市代駅は新旧分岐点のすぐ北側、15号トンネルと(旧)16号トンネルの間の短い明かり区間(約150m)にありましたが、跡地には駅名標が保存されているばかりで駅の遺構は何も残っていませんでした。


アプトいちしろ駅05
川根市代駅の駅名標



アプトいちしろ駅06
(旧)16号トンネル千頭側坑口

川根市代駅跡から始まるダム下流側の付替旧線には(旧)16号、(旧)17号、(旧)18号の3つのトンネルが現存しており、ミステリートンネルという名前の遊歩道として解放されています(照明設備はなし)。下流側の旧線にはンネルの他には遺構は残っていないとの事前情報を得ており、今回は同僚を連れていた事もあって旧線歩きの方はパスとしました。


アプトいちしろ駅07
アプトいちしろ駅構内

駅構内にはアプト式機関車の留置線(2線)と整備場が併設されているもののホームは単式の1面1線分だけです。
当初の予定では当駅から14:19発の下り列車に乗って尾盛駅まで行くつもりだったのですが、「井川線復旧」の記事を見た私が既に復旧したものと勘違いしていて、実際には3月11日(土)に復旧予定だったというオチ。

大鉄井川線 3月全線復旧 観光集客に期待

 土砂崩れの復旧作業で2014年9月から一部区間が運休していた大井川鉄道井川線(南アルプスあぷとライン)が16年度中に全線復旧する見通しとなったことが26日、関係者への取材で分かった。
(中略)
 土砂崩れは14年9月2日、静岡市葵区の閑蔵駅の南約600メートル付近で発生した。現在は接岨峡温泉(同町)-井川駅(静岡市)間が運休している。(以下略)


静岡新聞NEWS 平成28年12月27日(火)配信記事より


アプトいちしろ駅08
アプトいちしろ駅の駅名標



アプトいちしろ駅09
アプトいちしろ駅から井川方面を見る
(90‰の勾配標が立っている)



アプトいちしろ駅10
アプトいちしろ駅~長島ダム間のアプト区間

という訳で、ここから下り列車に乗っても接岨峡温泉駅までしか行けないので、乗車するのは止めて県道から駅に下りてくる林道からアプト区間を走行する下り列車を撮影する事にしました。
この写真に写っている範囲(第二大井川橋梁~(新)17号トンネル)が90‰のほぼ全区間に当たり、約500mで45mもの標高差があります。


アプトいちしろ駅11
【14:22】 アプト区間を通過する井川線の下り列車



アプトいちしろ駅12
(新)17号トンネルに進入する井川線の下り列車






アプトいちしろ駅13
第四大井川橋梁から奥大井湖上駅を見る

見送った下り列車は元々低速度な上にアプト機関車を解放しているので、車を走らせると早くも長島ダム駅で追い付きました。せっかくだから先回りして奥大井湖上駅付近のレインボーブリッジ(第三、第四大井川橋梁)で待ち構える事にしましょう。それにしても県道から徒歩道でレインボーブリッジまで下りてくるのは予想外に大変で運動不足の身には結構きつかったです。
なお、湖底に沈んでいた上流側の水没旧線は、奥大井湖上駅付近で喫水線から這い上がってきており、地上からもトンネルや橋梁を確認する事ができました。


アプトいちしろ駅14
【14:43】 第四大井川橋梁を渡る井川線の下り列車






アプトいちしろ駅15
【16:02】 大井川鉄道変電所付近を通過する「SLかわね路2号」

帰り道は14:53に千頭駅を発車した「SLかわね路2号」を追って大井川鉄道沿いを一路南下。SLは意外に早く、こちらは思っていたよりも速度を出せなくて新金谷駅が間近に迫った島田金谷IC付近(神尾駅~五和駅間)でようやく追いつけたのでした。
今回は行き当たりばったりの計画だった為、下りのSL(新金谷駅11:52→千頭駅13:09)にも間に合わなかったし、尾盛駅にも行けなかったので3月以降に再チャレンジしたいと考えています。


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