名阪国道01
名阪国道(亀山~伊賀間)

国道25号線は三重県四日市市と大阪府大阪市を結んでいる延長144.5kmの幹線道路です。
この内、三重県亀山市~奈良県天理市までの73.3kmは、無料で通行可能な自動車専用道路である名阪国道として昭和40(1960)年に開通しています(当時は暫定2車線。昭和52年に全線4車線化)。一方、名阪国道に並行している旧来の国道25号線(大和街道)も名阪国道が自専道である為か、旧道落ちしてから50年以上が経過した現在も国道指定されたまま残っていますが、最低限の整備しか行われておらず、伊賀市内の一部を除くと2ケタ国道としては例外的な酷道として現存する事になりました。このような状況から名阪国道に並行する旧道を道路マニアの間では「名阪国道ではない名阪国道」という事で「非名阪」なる愛称で親しまれています。
また、亀山市~伊賀市柘植間の非名阪に並行している関西本線は、関西鉄道(明治40年国有化)によって明治23(1890)年に開業した区間であり、120年以上前に建造された鉄道構造物の多くが近代土木遺産の指定を受け、今日でも現役で利用されています。


名阪国道02
【A地点】 新所町交差点

非名阪の起点は亀山市街の西端に位置する新所町交差点。古くから東海道(現・国道1号線)と大和街道(現・国道25号線)の分岐点であった事から「西の追分」と呼ばれています。なお、西があるなら東もあるかと検索してみると「東の追分」は東海道と伊勢別街道(現・県道10号線)が分岐している市内関町木崎にあるようです。
この「西の追分」こと新所町交差点を直進すると、鈴鹿峠を経て甲賀、大津へと至ります。


名阪国道03
【B地点】 非名阪の始まり

非名阪国道は起点(新所町交差点)こそセンターラインが引かれた2車線道路ですが、わずか400mほど進んで鈴鹿川に架かる光和橋を渡るとセンターラインがなくなり、幅員が1.5車線程度に狭まります。断続的に2車線に拡幅済の区間は現れるものの、僅かに現道を拡幅した程度の規模ばかりであり、通常の2ケタ国道に見られるような大規模に付け替えられたバイパス道路は皆無です。まあ、非名阪自体が前述の通り実質的な旧道なんだから仕方ないけど。


yawatahama56.jpg
名阪国道の起点
(亀山インター付近)

比較の為に名阪国道の起点を載せておきます。名阪国道は東名阪と西名阪を直結している自専道である為、交通量は昼夜を問わず非常に多い道路です。


名阪国道04
【C地点】 亀山市関町金場

センターラインの無い道路で2ケタ国道の国道標識が見られるのは、現在の日本では非名阪だけではないかと思われます(旧道に残存している物は除く)。


名阪国道05
【D地点】 金場隧道 亀山側坑口

金場の集落と2ヶ所の踏切を迂回する為に掘られた金場隧道。集落内を通る旧道は狭いながらも舗装済で通り抜けることができました。ところで、この金場隧道は全国隧道リストでは竣工年が昭和6(1931)年とされていますが、扁額が左書きである事から疑問に思って過去の空中写真を比較してみると、同隧道は昭和21(1946)年には存在しておらず、昭和34(1959)年には開通している事が判明しました。何だかんだで誤記の少ない隧道リストだけど、金場隧道の竣工年については誤っていると言えそうです。平成16年度道路施設現況調査に記載されている竣工年は昭和31(1956)年になっているので、こちらの方が正しいのでしょう。
昭和31年と言えば、名阪国道が計画(昭和37年に計画発表)される以前で、大和街道がまだ「二級国道163号」だった時代です。

【金場隧道】
昭和31(1956)年竣工
延長64.5m、幅員6.5m、高さ4.5m


名阪国道39
金場隧道 伊賀側坑口



名阪国道40
金場隧道の扁額(伊賀側)



名阪国道06
金場トンネル 亀山側坑口

関駅~加太駅~柘植駅間の関西本線には金場、坊谷、加太の3つの煉瓦トンネルがあり、この内、坊谷トンネルと加太トンネルが近代土木遺産に指定されています。金場隧道の旧道からは、屋根型五角形のパラペットが特徴的な金場トンネル(L=260.0m)の亀山側坑門を僅かに覗くことができますが、加太川に阻まれて全体像の撮影はできませんでした。まさか線路内を歩く訳にはいかないし、列車内から撮影するしかないのかな。


名阪国道07
金場トンネル 柘植側坑口

柘植側の坑門は加太川を挟んだ非名阪からもよく見えました。こちら側は全体的にコンクリートによって改修されていて、かつての煉瓦製坑門は見る影もありません。


名阪国道08
【E地点】 坊谷踏切

非名阪と関西本線が平面交差している坊谷踏切からは、100mほど向こうに口を開けている坊谷トンネルの柘植側坑門を見る事ができました。接近は出来ないけど何とかズーム撮影で捉えられる程度の距離です。


名阪国道09
坊谷トンネル 柘植側坑口

【坊谷トンネル】
明治23(1890)年開業
煉瓦+石トンネル
延長163.0m
近代土木遺産Cランク
地図


名阪国道10
【F地点】 加太駅前の非名阪

坊谷踏切を過ぎると地形が開けて、谷間の平地に広がる水田と加太向井・加太市場地区の民家がチラホラと見えてきました。加太駅も加太向井に置かれていますが、この辺は市役所支所や小学校がある加太の中心地からは約2kmほど離れた立地です。その為か加太駅の利用客は1日100人にも満たず、関西本線では唯一の完全な無人駅となっています。


名阪国道11
市場川橋梁(南側から)

加太駅のすぐ東側を流れている小さな川(牛谷川)には煉瓦拱渠の市場川橋梁が架かっています。拱渠内には通路が設けられており、近隣住民の通路としても利用されているようです。なお、橋梁名には「市場川」を冠していますが、現行の地形図等では市場川橋梁が架かっている河川は「牛谷川」となっていました。

【市場川橋梁】
明治23(1890)年開業
煉瓦拱渠
近代土木遺産Bランク
地図


名阪国道12
市場川橋梁(北側から)



名阪国道44
市場川橋梁から見た加太駅の構内



名阪国道13
【G地点】 猪本橋

非名阪の方でも重厚な煉瓦橋脚を持つ橋が加太川に架かっていました。この橋には親柱や銘板といった類が一切なくて、現地では名称から竣工年まで全てが不明でした。この記事を書くに当たって「加太川 25号 煉瓦橋脚」というキーワードでググってみたところ、よとと氏のくるまみちがヒットして、橋名が猪本橋である事が判明しました。
橋脚と桁が何となくミスマッチな感じがするので、桁は後年に交換されているのではないかと想像します。さらに勘繰ってみると桁の交換は名阪国道の開通後で、旧道である非名阪の橋には銘板等も取り付けて貰えないという雑な扱いを受けたのではないでしょうか。




名阪国道14
【H地点】 板屋交差点
(平成27年11月15日撮影)

非名阪から名阪国道・板屋インターへの入口となっている板屋交差点。「9年前に来た時とは様子が違うな~」と思っていると、交差点から真っ直ぐバイパス道路が開通していたんですね。ところが直進しているバイパスは非名阪のバイパスではなくて、県道668号線(関大山田線)のバイパスだったというオチ。しかも、板屋交差点には非名阪が右折である旨を告知するような青看は一切設置されておらず、カーナビ等がなければ正しく非名阪を辿る事は困難な状況になっています。まあ、直進しても市道を介して非名阪に復帰できる上に、加太北在家集落内の狭い非名阪を迂回させられるから、道路管理者としては確信犯なんだろうな。
市場川橋梁とセットで近代土木遺産に指定されている第一六五号橋梁は、板屋交差点手前の小道を右折した所にあります。


名阪国道15
【H地点】 板屋交差点
(平成18年12月30日撮影)





名阪国道16
第一六五号橋梁(南側から)

民家と関西本線の築堤に挟まれた細道を通って第一六五号橋梁に辿り着いてみると、なんと10数人もの先客がいて大変驚かされました。一行は関西本線の土木遺産を巡っているツアー客らしく、そそくさと通り抜けようとした私に対しても「どこでここを知ったんですか?」みたいな答えにくい質問を投げ掛けてきたのでした。現地ではお茶を濁しておいたけど、強いて挙げるなら土木学会のホームページかな。
帰宅後にググってみると、この人たちは「加太鉄道遺産研究会」が案内する「加太、秋の産品と鉄道遺産を巡るウォーキングツアー」の御一行様だったみたいです。

【第一六五号橋梁】
明治23(1890)年開業
煉瓦拱渠
近代土木遺産Bランク
地図


名阪国道17
第一六五号橋梁(北側から)



名阪国道18
第一六五号橋梁の東側に架かっている板屋川橋梁
(非名阪の板屋橋から撮影)





名阪国道19
【I地点】 亀山市加太北在家
(平成27年11月15日撮影)

板屋交差点から県道バイパスが開通した事によって隠される形になってしまった北在家集落内の非名阪には、県道バイパスの開通以前は立っていた国道標識が撤去されていました。北在家集落を迂回している道路(県道→市道)の両側入口は、北在家の非名阪には入って欲しくなさそうな雰囲気だったけど、非名阪が今でも国道25号線である事に違いはないんだから何も国道標識まで撤去しなくても良かったのにな。


名阪国道20
【I地点】 亀山市加太北在家
(平成18年12月30日撮影)

長くなってきたので、これより先の北在家隧道(大和街道橋梁)から柘植にかけての記事は後半に続く事にします。





名阪国道41
加太駅周辺地図



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