木本隧道01
木本隧道 新宮側坑口
(戦前絵葉書より)

熊野市(旧・木本町)の海岸景勝地である鬼ヶ城に車道を通す為、大正15年に県道新鹿木本線(現・国道311号線)の一部として木本隧道が開通しました。延長は509mあり、当時の道路隧道としては栗子山隧道(福島・山形県境)、佐波山隧道(山口県)に次ぐ長大隧道でした。
昭和24(1949)年になると国道42号線の新道(大泊~佐田坂~小坂隧道)が開通した為、木本隧道も国道42号線に編入され、昭和39(1964)年には国道42号線の新トンネルとして鬼ヶ城トンネルが開通したことから、旧道となった木本隧道は昭和48(1973)年に鬼ヶ城歩道トンネルと名前を変えて、歩道及び車両は熊野市街から尾鷲方面へ向けての一方通行路として活用されています。

二百八十間の隧道を出づれば直ちに鬼ヶ城の千畳敷に通ずべく泊観音古刹
泊の海水浴場もこの附近にあり
新宮 久保写真館撮影


なお、上記絵葉書を撮影した新宮の久保写真館は、現在も新宮市新町にて営業しているようです。


木本隧道02
木本隧道 新宮側坑門

新宮側の坑口は切通しの奥に位置している為、日当たりが悪く鬱蒼とした雰囲気です。経年相応に汚れてはいますが、戦前絵葉書と比べても坑門に目立った変化は見られません。

【木本隧道】
大正15(1926)年竣工
延長509.0m、幅員4.2m、高さ4.4m (制限高3.3m)
総工費16万円
選奨土木遺産
近代土木遺産Aランク



木本隧道03
新宮側の扁額



木本隧道04
新宮側坑門遠景

木本隧道の開通以前の県道新鹿木本線は、平成16(2004)年に世界遺産に登録された熊野古道の一部である松本峠を通っていました(もちろん車両の通行は不可能)。また、鬼ヶ城の海岸沿いには遊歩道が開設されていますが、こちらは昭和62(1987)年に整備された新しい道です。
松本峠と鬼ヶ城遊歩道は、いずれも世界遺産に指定されているほどの物件だから歩いてみたい気持ちはあったけど、そこまで探索範囲を広げられないので今回は断念しました。


木本隧道05
洞内

竣工当時の洞内は全長509mの内、煉瓦による巻立箇所が計204.3mあり、残る300mほどの区間は素掘りのままでした。現状は全体的にコンクリートが吹付けられているものの、巻立箇所と素掘り箇所の比率は竣工当時から殆ど変っていないようです。


木本隧道06
洞内中央付近に一ヶ所だけ待避所が設けられている



木本隧道07
木本隧道 尾鷲側坑門

坑門のデザインは新宮側と全く同じですが、こちら側は新宮側と比べると日当たりが良く、汚れも少ない。ちなみに約10分の滞在時間(土曜日の10:05~10:15)の間に隧道を通った車は3台、自転車・歩行者は0でした。


木本隧道08
尾鷲側の扁額



木本隧道09
尾鷲側の新旧分岐点
(左側に市道・鬼ヶ城線が分岐している)

尾鷲側の新旧分岐点からは鬼ヶ城に向けて市道・鬼ヶ城線も分岐しています。以前は鬼ヶ城トンネルを抜けるとすぐに市道が接していた為、交差点の見通しが非常に悪く市道への出入りには危険が伴っていたのですが、今回来てみると市道が200mほど延伸されると共に国道42号線には右折レーンが設置されていて安全性が大幅に向上していました。

【鬼ヶ城トンネル】
昭和39(1964)年竣工
延長570.0m、幅員6.5m、高さ4.5m


木本隧道10
獅子岩

この後は、木本隧道を抜けた先の旧国道(熊野市街地)を獅子岩交差点まで走行してみたけど、国道時代を感じさせてくれる白看等の遺物は見当たりませんでした。


木本隧道11
木本隧道周辺地図



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