加太トンネル00
加太トンネル周辺地図

関西本線・加太駅~柘植駅間の近代土木遺産巡りを終えて、加太トンネルにだけは接近できなかった事が悔やまれました。そこで「えきから」で両駅の時刻表を検索したところ、「加太12:28発→柘植12:39着」「柘植12:42発→加太12:53着」に発着する列車がある事が判明。これらの列車を往復利用すれば約30分で車内からの撮影を済ませられそうです。
また、両駅の中間部分には事実上の廃止状態になっている中在家信号場もあり、こちらも徒歩での訪問が困難とされているので、車内からの撮影に期待が膨らむところであります。


加太トンネル01
加太駅に入線する加茂行き列車

11:28に定刻通り加太駅に加茂行き列車が到着しました。隣の柘植駅との駅間は8.9km、要する時間は約10分です。


加太トンネル02
中在家信号場
(右手前が引上線)

中在家信号場は昭和3(1928)年に加太越えの急勾配上(25‰)に開設されたスイッチバック式の信号場です。開設当初は2本の発着線が敷かれていましたが、昭和40年代以降に関西本線が幹線としての役割を喪失し徐々に運行本数が減少した事から、平成10(1998)年に現在も残っている発着線1本の形に改められています。さらに平成18(2006)年からは当信号場での列車交換はなくなり、閉塞区間の境界であるだけの存在になり、平成27年現在ではホーム跡と分岐ポイントが残っているものの、発着線、引上線は共に薮に埋もれており、本線上の信号機だけが点灯していました。


加太トンネル03
中在家信号場のホーム跡
(左奥が発着線)



加太トンネル04
中在家信号場の配線図



加太トンネル05
加太トンネル 亀山側坑口

中在家信号場を過ぎると間もなく加太トンネルが現れます。明治23(1890)年の開業当時は北陸本線・柳ヶ瀬トンネル(L=1,352m)、東海道本線・牧之原トンネル(L=1,056m)等に次ぐ長大トンネルでした。
亀山側の坑口に設置されているシェッド状の建造物は「隧道幕」の名残で、これは蒸気機関車が長大トンネルを通過する際に排煙によって窒息事故が頻発した為、対策として最後尾の車両がトンネル内に入ると幕を下ろして列車が排煙に巻かれる事を防止した物です。

【加太トンネル】
明治23(1890)年開業
煉瓦+石トンネル
延長929.6m
近代土木遺産Aランク


加太トンネル07
柘植駅での交換風景

柘植駅は関西本線と草津線の分岐駅。ここでの下り線から上り線への乗り換え時間は約3分だけしかありません。この列車を逃してしまうと1時間も待つハメになるので、速やかに跨線橋を渡って上り列車に乗り換えます。


加太トンネル08
加太トンネル 柘植側坑口

帰りの上り列車からは柘植側の坑門を撮影。こちら側には隧道幕がないので、重厚な煉瓦坑門の全体像を拝む事ができます。扁額に刻まれた「加太」の力強い筆跡が印象的でした。


加太トンネル10
加太トンネルの立坑跡

加太トンネルは国内初の作業用立坑が採用されたトンネルとしても知られています。トンネルは両坑口の2ヶ所から掘削されるのが通常ですが、長大トンネルには立坑や斜坑を設けて複数の箇所から掘り進める事によって、工期の短縮を計ると共に工事を容易にする訳です。地形図で確認すると立坑の位置は加太トンネルのほぼ中間地点(やや柘植寄り)で、本坑は立坑から30m付近の地下を通っているようです。立坑跡は非名阪から分かれる市道のすぐ脇にあるので車でも容易に訪問できますよ。

地図


加太トンネル11
謎の煉瓦塔

立坑の傍には煙突状の煉瓦塔が朽ちかけつつも一応の形状を保っています。立地と煉瓦建造物という点から考えて、まず間違いなく加太トンネルに関連ある物件だと思われますが、由来は明らかではありません。


加太トンネル12
中在家信号場
(右手前が発着線)



加太トンネル13
中在家信号場のホーム跡
(左奥が引上線)



加太トンネル15
加太駅に停車中の上り列車

車窓からの撮影は無事成功して加太駅に帰還。計画通りに事が進むと気分が良いものです。
加太駅のホームには地元有志による町おこしの一環として、今回の記事でも紹介した関西本線の鉄道遺産群の写真が解説付きで展示されていました。


加太トンネル19
加太駅の展示写真



加太トンネル16
加太駅舎



加太トンネル17
非名阪の加太駅前

加太駅からの帰り道に非名阪(国道25号線・大和街道)の加太駅入口に「左 停車場道」と刻まれた道標が立っているのを見付けました。いつの時代に建立された物かは判断しかねますが、青看・白看等の道路標識が登場する遥か以前の道標である事は間違いなく、私に大和街道と加太駅の長い歴史を感じさせてくれる発見でした。


加太トンネル18
停車場道の道標



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