
府縣道岡部驛桂島線 舊岡部隧道
今日は上記絵葉書の隧道について記事を進めていきたいと思います。
まず、路線名の「府縣道岡部驛桂島線」については、静岡県志太郡岡部町桂島(旧岡部町、現・藤枝市)と岡部町岡部(旧岡部町の中心部)を結んでいる静岡県道210号・相俣岡部線が該当するかと思います。岡部驛という駅は存在しませんが、大正14(1925)年から昭和11(1936)年までは旧岡部町内に藤相鉄道の終着駅である駿河岡部駅が置かれていました。
注目したいのは見慣れない「舊」という文字。これは「旧」の旧字体なので「旧岡部隧道」、或いは「旧(ふる)い岡部隧道」という意味になるでしょうか。どちらにしても絵葉書が発行された戦前において、既に「旧岡部隧道」と称されていた点は実に興味深い。

岡部隧道 桂島側坑口
(平成17年8月6日撮影)
そしてこれが県道210号線にあった岡部隧道。石積みの坑門だった絵葉書の岡部隧道とは似ても似つかないコンクリート坑門の隧道です。坑門には扁額のようなの物は見られませんが、簡易的な代用として坑門に「岡部隧道」と刻み込まれていました。全国隧道リストによると昭和8(1933)年の竣工、平成12(2000)年頃にすぐ隣にオープンカットの新道が開通したため廃道となっています。この二つの岡部隧道が全く別の隧道なのか、或いは改修によって姿を変えた同一の隧道なのかは現状では不明。
【岡部隧道】
昭和8(1933)年竣工
延長121.5m、幅員5.1m、高さ4.1m

岡部隧道 桂島側坑口
(平成25年4月13日撮影)
最初の訪問から8年後に再訪してみると、両側の坑口には坑口のサイズに合わせて特注したと思しきバリケードが設置されており、洞内には容易に侵入できなくなってました。

拡幅工事中の岡部隧道
【追記】
その後、拡幅工事中の岡部隧道を撮影した写真(桂島側とみられる)が発見されたため、旧隧道を拡幅したものが現在の廃隧道であることが判明したのでした。

岡部隧道と山を大きく切り開いた新道
(奥が岡部側)
新道に埋もれるかのような立地の岡部隧道の桂島側坑口。こちら側の旧道は現道から車道としては完全に途絶しています。

岡部側の新旧分岐点
(奥が桂島側)
岡部側には隧道への取付道路が短いながらも現存していました。旧道は地元の営業マンには知られた休憩スポットになっているらしく、2度の訪問とも旧道に停車した社用車の中で午睡をしているサラリーマンを見掛けました。

岡部側の旧道
旧道の路面には追越禁止のセンターラインと制限速度30km/hのペイントがうっすらと残っていました。追越禁止のセンターラインは桂島側の坑口前(2枚目の写真)でも見られたので、隧道以外の旧道は狭いながらも2車線幅が確保されていたようです。

岡部隧道 岡部側坑口
(平成17年8月6日撮影)
こちら側の坑口の閉鎖措置も桂島側と同じく8年の間に強化されてました。坑門の構造も桂島側と同様に見えます。

岡部隧道 岡部側坑口
(平成25年4月13日撮影)

岡部隧道周辺地図
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