立山カルデラ01
立山砂防工事専用軌道
(立山カルデラ砂防博物館発行の絵葉書より)

9月25日(水)に立山カルデラ砂防体験学習会のトロッココースに参加してきました。
上記学習会は立山カルデラにおける砂防事業への理解を深める為に立山カルデラ砂防博物館が開催しているもので、専用軌道のトロッコ列車とバスを乗り継いで一般人の立ち入りが禁止されている立山カルデラ内を見学する事が出来ます。
毎年7月から10月にかけて参加者を募集していますが、40名or80名の定員に対し概ね2倍~5倍程度の人気があり、私は昨年、一昨年と4回ずつ応募するも全て落選し、挑戦3年目の今年になってようやく当選の運びとなりました。
しかしながらこの学習会は当選したとしても必ず開催される訳ではなく、砂防だけに悪天候が予想されると中止になってしまうので実施率は僅か6~7割程度なのです。私が当初、当選していた7月3日分(倍率2.6倍)は「曇時々雨、降水確率40%」という天気予報であっけなく中止となり、失意のうちにダメ元で再チャレンジしてゲットできたのが9月25日分(倍率3.5倍)という訳です。

公式サイト:立山カルデラ砂防体験学習会
Wikipedia:国土交通省立山砂防工事専用軌道


立山カルデラ02
スイッチバックが目立つ立山砂防軌道の路線図
(水谷出張所にて)

では、体験学習会の目玉である(と思われる)トロッコ列車について簡単に説明しときます。
立山砂防軌道は明治時代から継続して行われている常願寺川の改修、砂防工事における人員・物資の輸送を効率化する為に計画された軌間610mmの専用軌道です。昭和4(1929)年に千寿ヶ原~樺平間が開通し、昭和6年に白岩まで全通しています。当初の軌道は高低差の大きい樺平~水谷間をインクラインで接続していましたが、戦後になると同区間は索道連絡となり、さらに昭和40年には18段のスイッチバックが完成した事によって全線が一つの軌道で結ばれました(後に水谷~白岩間は車道になっている)。
この軌道の最大の特徴は路線距離18㎞で640mの標高差を克服する為に設けられた8ヶ所・38段(以前は9ヶ所・42段あった)もの連続スイッチバックです。これ程の数のスイッチバックを持つ鉄道路線は世界的に見ても珍しいんだとか。スイッチバック好きにはたまりませんな。


立山カルデラ03
砂防博物館で貸与されたヘルメットを装着

今回は長女と職場の上司を含めた3名で当選していましたが、前々日になって上司に急遽大阪出張が入って参加できなくなってしまいました。落選した人の事を考えると我がパーティーから欠員を出してしまったのは申し訳なく思います。なお、前日に連絡は入れはしたものの、さすがに急だったのか欠員の補充はされていませんでした。あと集合時間になっても姿が見えず連絡も取れない人が1組2名いたらしく、9月25日のトロッコ個人コース(2班)は20名のところ17名での出発となりました。


立山カルデラ04
貨物ヤードに留置中の機関車「平成」と貨車

集合時間の30分前に集合場所の博物館に到着したので、2班の受付が始まるまで千寿ヶ原駅の構内をしばし散策。


立山カルデラ05
訓練用軌道(旧津ノ浦線)のホーム

千寿ヶ原駅からは本線の他、津ノ浦砂防ダムの建設工事の際に敷設された津ノ浦線が分岐していました。常願寺川に沿った約800mの津ノ浦線には2ヶ所のスイッチバックがあり、津ノ浦砂防ダムの完成後は運転士を養成する為の訓練用軌道に転用されているとの事です。


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千寿ヶ原の駅名標
各連絡所には同タイプの駅名標が設置されていた



立山カルデラ53
立山カルデラ砂防博物館

受付を済ませると一行は立山カルデラ砂防博物館に案内され、学芸員(?)の方から立山カルデラについて一通りの説明を受けます。この解説は真面目に聞いておくと、後の体験学習会が何倍も楽しめると思いますよ。


立山カルデラ07
【A地点】 千寿ヶ原駅で出発を待つ「立山」

10時5分、ついにトロッコ列車の出発時刻となりました。
カルデラ内への外来種の持込み防止という事で、水場にて靴の裏を洗浄してからトロッコへ乗車します。本日のトロッコはディーゼル機関車「立山」が牽引する3両編成で、車内は1列3名掛けのシートになってます。前述の通り欠員3名が出たため多少の余裕があって、うちは長女と2人だけで座れました。終点・水谷出張所までの所要時間は約1時間40分、平均時速は12km/h程度です。


立山カルデラ50

立山砂防事務所と常願寺川河川敷の「憩の広場」を結ぶ遊歩道と砂防軌道の交点には、立山砂防軌道では唯一の第一種踏切(警報機+遮断機付)が設置されています。もっとも遊歩道には軌道をアンダーパスする新道が開通しており、踏切は既に立入禁止になっていたのですが、列車通過時にはちゃんと警報機と遮断機が作動していました。


立山カルデラ08

千寿ヶ原を出発すると間もなく最初のスイッチバックに差し掛かります(【B地点】)。ポイントの切り替えは最後列に乗車している運転補助員がリモコンにて操作しているとの事で、各スイッチバックには進行方向を示す矢印信号(左写真)が設置されていました。


立山カルデラ09
【C地点】 進行方向を変え砂防博物館の裏側を登って行く軌道
この先にはさらに連続して3回のスイッチバックがある



立山カルデラ10
【D地点】から【B地点】を見下ろす
最初のスイッチバック付近を資材運搬トロッコが通過中



立山カルデラ11
【E地点】から見下ろした千寿ヶ原駅の全景
千寿ヶ原のスイッチバックでは4段で約30mの高度を稼いでいる



立山カルデラ地図01
千寿ヶ原スイッチバック周辺



立山カルデラ12

乗車から約10分。千寿ヶ原スイッチバックを過ぎた所で問題が発生。長女が早くも乗り物酔いを発症したのでした。この子は乗り物には相当強いはずなのですが、慣れないナローゲージとスイッチバックに加え早朝からの強行軍が堪えたようです。この状況下ではゲロ袋を渡すぐらいしかしてやれなかったけど、水谷までの約80分を何とか吐かずに耐え切ったのでした。


立山カルデラ13
津之浦トンネルと旧線跡

最初のトンネルである津之浦トンネルは現行の地形図や立山カルデラガイドブックにも記載がない事から近年開通した新しいトンネルだと思われます。立山砂防軌道では平成10年~19年(1998~2007年)にかけて、各所の危険個所で新ルートへの付け替えが実施されたので、津之浦トンネルもその内の一つなのでしょう。坑口脇からは崖沿いに旧線跡と思しき平場(右写真)が伸びているのを確認できました。


立山カルデラ14
天鳥トンネル旧線跡
この奥に天鳥オーバーハングがあった

平成17(2005)年に中小屋連絡所付近に開通した天鳥トンネルの旧線跡。天鳥トンネルの開通によって立山砂防軌道でも屈指の難所に数えられた天鳥オーバーハングが車窓から姿を消し、同時に旧線区間内にあった4段のスイッチバックが解消され、全線のスイッチバック数が42段から38段に減少しています。


立山カルデラ54
天鳥オーバーハング
(立山カルデラガイドブックより)



立山カルデラ15
桑谷スイッチバック

天鳥トンネルと滝の谷トンネル(いずれも中小屋~桑谷間に建設された新トンネル)に挟まれた短い明かり区間に位置する桑谷スイッチバック。


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桑谷オーバーハング

滝の谷トンネルの千寿ヶ原坑口からは、レールが敷かれたまま残っている旧線の桑谷オーバーハングを一瞬だけ見えました。桑谷スイッチバック付近の旧線には2ヶ所のオーバーハングという格好の見学スポットがあるのだから、この辺りで一度下車できれば良いと思うのですが。まあ、安全面やダイヤの関係で難しいんでしょうな。


立山カルデラ18
滝の谷トンネルを抜けた所が桑谷連絡所



立山カルデラ20
妙寿スイッチバック
(最上段から撮影)

桑谷~鬼ヶ城間の妙寿スイッチバックでは4回5段のスイッチバックで約50m登ります。ここは見通しの良い崖に階段状に築かれている為、スイッチバックの全貌を収めた写真を撮りやすい場所だと思います。


立山カルデラ21
妙寿スイッチバック
(最上段から下部4段の線路を見下ろす)



立山カルデラ22
新旧の坑口が並ぶ鬼ヶ城トンネル
(千寿ヶ原側坑口)

新旧並んだ鬼ヶ城トンネルの前で突然トロッコ列車が停車したので何事かと思っていると、10秒程の停車の後に旧トンネルの方へ向けてゆっくりと発車して行きました。これは今年の4月に鬼ヶ城トンネルの入口付近が岩盤崩落により被災した為、川側の旧トンネルを利用して仮復旧している状態なんだそうです(参考pdf)。



立山カルデラ26
鬼ヶ城連絡所と崩壊著しい鬼ヶ城谷

鬼ヶ城トンネルを抜けた所が鬼ヶ城連絡所。
以下中編に続きます。


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