さった峠01

歌川広重の「東海道五十三次之内 由井」を印刷した戦前絵葉書。
この浮世絵と同じ構図の富士山を見てみたいと思い、静岡市清水区の薩埵峠へ行ってきました。


さった峠02
薩埵峠周辺地図

薩埵峠は東海道五十三次の中では由比宿と興津宿の間に位置する峠です。
山が海へと突き出した急峻な地形である事から古来より東海道の難所の一つに挙げられ、北陸道の親不知と並び称される程でしたが、嘉永7(1854)年に起こった安政東海地震により峠直下の海岸が隆起し、容易に通行できるようになった為、東海道(国道1号線)は現在の海岸線を通るルートに改められています。


さった峠03
【A地点】 興津井上町の薩埵峠入口

国道1号線の新興津川橋の東詰から市道に入り、約1㎞ほど走って東名高速を潜った所が興津側からの薩埵峠への入口です。通り過ぎてしまいそうな目立たない交差点ですが、一応「薩埵峠→」と書かれた小さな看板が建っていました。


さった峠04
【B地点】から峠方面を見る



さった峠05
【C地点】 東名高速の薩埵トンネル

興津井上町の集落を抜けると並行してきた東名高速は薩埵トンネル内に姿を消し、ここから峠道は本格的な登り坂が始まります。薩埵トンネルの坑門脇からは右手に遊歩道(ごぼう坂)への道が分岐しており、こちらの遊歩道の方が旧東海道に当たるようです。


さった峠06
薩埵トンネル上り線
(昭和43年開通、L=440m)



さった峠07
薩埵峠への急坂
計算上の平均勾配は12.5%になる



さった峠08
【D地点】 薩埵峠(奥が由比側)

薩埵トンネルの坑口から約400mで薩埵峠に到着。本来の薩埵峠(旧東海道)は別にあり、この峠は後年開かれた車道の峠に過ぎないので碑や石仏の類などは一切ありません。
峠の周辺では地滑り対策工事が行われており、興津側から峠にかけての坂道は工事車両の通行の為に近年拡幅が行われたようです。


さった峠09
薩埵峠から由比側を見る
直下を東名高速、国道1号、東海道本線が通っている

さて、これが広重の浮世絵と同じ眺めです。眼下に広がる駿河湾の海岸線は確かに絶景ではありますが、誠に残念ながら肝心の富士山は雲に覆われて見えません。


さった峠10
薩埵峠から見た富士山と駿河湾
(平成29年1月22日撮影)

という訳で天気が良さそうな日を選んで再訪しました。やはり薩埵峠に来るなら富士山が見える日に限ると実感できる絶景でした。


さった峠01
東海道五十三次之内 由井



さった峠12
遊歩道から国道1号と東海道本線を見下ろす
この辺りが前述の安政東海地震により隆起した海岸線



さった峠13
薩埵峠から由比側への下り道

由比側の峠道は一見するとミカン畑の為の農道のようです。興津側のように拡幅されてないので非常に狭く、対向車に遭ったら面倒だと判断して通り抜けは遠慮しときました。薩埵峠に来る事だけが目的なら興津側から出入りした方が無難ですよ。





さった峠14
旧国道1号線・浦安橋

興津側に下って来たので旧国道1号線も見ときましょう。興津川には東海道本線の興津川橋梁と富士由比バイパスの新興津川橋に挟まれる形で旧国道1号線の浦安橋(興津川橋)が架かっています。


さった峠15
浦安橋

浦安橋は明治8(1875)年に木橋が架けられたのが始まりで、現在架かっているRC橋は昭和7(1932)年の竣工です。昭和38(1963)年に下流側に新興津川橋(2車線)が架けられ、昭和52年には新興津川橋の4車線化が完成して現在の形になりました。

【浦安橋】
昭和7年竣工
RCカンチレバー桁橋
延長211.0m、幅員7.3m


さった峠16
【F地点】 薩埵峠富士(戦前絵葉書)
昭和初期頃の国道1号線と東海道本線



さった峠17
【F地点】 現在の国道1号線と東海道本線

上の絵葉書と同位置から撮影した現在の様子。東海道線のトンネルは銘板によると洞第1トンネル(L=97m)と言い、明治22(1889)年の国府津~静岡間開業時以来、変わらぬ姿の古トンネルです。一方、西倉沢~興津東町間の国道1号線の4車線化は昭和47年頃に完成したらしいです。


さった峠18
【G地点】から東名高速と薩埵峠を見上げる



さった峠19
【H地点】 西倉沢交差点

薩埵峠への由比側入口は国道1号とは東海道本線を挟んだ旧道上にあるので、寺尾か西倉沢の交差点から旧道に入る必要があります。地図を見ると西倉沢からの方が近く見えるのですが、高速並みに流れが速い国道1号からの交差点直後に踏切があって出入りが難しい上に、その先の薩埵峠への入口が普通車以上は曲がれないヘアピン状の鋭角交差点になっているのでした。この為、由比側から薩埵峠に向かうには寺尾交差点から入るか、あるいは興津側に迂回した方が良いと思いますよ。


さった峠20
【I地点】 西倉沢の薩埵峠入口

西倉沢交差点(左奥)から来ると薩埵峠(右奥)に向けてはまず曲がれないでしょう。こちら側からは峠まで約1.2kmの道のりです。この交差点には一里塚跡の碑が建っており、案内板によると江戸・日本橋より40番目の一里塚であったとの事。


さった峠21
【I地点】 西倉沢の旧道(奥が由比側)



さった峠22
旧道(東倉沢~寺尾間)から見下ろした旧由比町の中心部



さった峠23
【J地点】 寺尾の旧道(奥が由比側)



さった峠24
【K地点】 県道396号線・由比駅前

旧道を最後まで辿ると由比駅前で旧国道1号線である県道396号線(富士由比線)に合流して薩埵峠からの旧道は終了となります。


スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://haisentn.blog41.fc2.com/tb.php/336-14f7c55e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック