昇仙峡の隧道群01
昇仙峡周辺地図

山梨県道7号線(甲府昇仙峡線)は、甲府市街と昇仙峡を結ぶ県内でも有数の観光路線です。
昭和47(1972)年に昇仙峡の渓谷に沿った狭路(通称:馬車道)を迂回する御岳昇仙峡有料道路(グリーンライン、平成9年無料化)が開通。これに併せて昇仙峡の上流側の県道7号線も全線2車線道路に整備されました。
全国隧道リストによれば、従来からの車道を拡幅改修した竹日向町~高成町間には、昭和10年に竣工した5つの隧道が存在していた事になっており、現行の地図上でも同区間内には5つのトンネル記号を確認する事ができます。果たしてこれらの隧道は現存しているのだろうか?という疑問を解消すべく、紅葉狩りのついでに探索してきました。


昇仙峡の隧道群02
⑤仙娥滝隧道 北側坑口

今回の探索は仙娥滝の駐車場に車を停め、北側から徒歩にて実施しました。ここから南へ4つの隧道(⑤~②)を歩き通して、嫁に1.5㎞南の県営駐車場まで迎えに来てもらう計画です。仙娥滝の駐車場の傍には、さっそく一つ目の隧道が口を開けていました。その名も仙娥滝隧道です。


昇仙峡の隧道群05
隧道群の銘板

北側から最初の隧道となる仙娥滝隧道には、県営駐車場までの上記4つの隧道の諸元が記されていました。竣工はいずれも昭和47年4月となっており、御岳昇仙峡有料道路と同時期に改修された事が分かります。ただし、これを隧道リストの隧道群と照らし合わせてみても、延長等が明らかに一致せず(改修した)同一の隧道を指しているのか、はっきりしませんでした。
北端に位置する当隧道はリスト中の「御岳隧道」か「第一隧道」に該当するのではないかと思いますが?

銘板
⑤仙娥滝トンネル: 33.7m
④ 御岳トンネル:230.9m
③ 能泉トンネル: 67.4m
② 覚円トンネル: 35.0m

① (旧道上のトンネル)  

隧道リスト
御岳隧道:延長23.0m、幅員3.0m、高さ4.0m、甲府市高成町【覆】
第四隧道:延長10.5m、幅員4.0m、高さ3.5m、甲府市高成町【覆】
第三隧道:延長15.2m、幅員3.7m、高さ3.5m、甲府市高成町【素】
第二隧道:延長63.7m、幅員3.6m、高さ3.5m、甲府市竹日向【素、覆】
第一隧道:延長29.5m、幅員3.0m、高さ3.5m、甲府市高成町【素】



昇仙峡の隧道群03
仙娥滝隧道の名前の由来になった仙娥滝



昇仙峡の隧道群04
⑤仙娥滝隧道 南側坑口






昇仙峡の隧道群06
④御岳隧道 北側坑口

仙娥滝隧道を抜けると間髪入れずに二つ目の隧道である御岳隧道が続きます。


昇仙峡の隧道群33
④御岳隧道 北側坑口

そして、昇仙峡の隧道群の中にあって最大の謎となっているのがこの御岳隧道です。
銘板では延長230.9mとされていますが、隧道リストに記載された隧道群の延長は最長でも第二隧道の63.7mであり、旧来の隧道を改修しただけでは、この隧道は生まれようがないのです。
また、並行して旧道・旧隧道が通っていた痕跡も見られないので(一つ上の写真を参照)、御岳隧道開通以前の県道は一体どこを通っていたというのだろうか?


昇仙峡の隧道群07
御岳隧道の尾根

御岳隧道には両側を埋没隧道によって塞がれた旧道が通っていた可能性も考慮し、北側坑口からの尾根越えも敢行しましたが、まことに残念ながら旧道の道筋を発見するには至りませんでした。


昇仙峡の隧道群34
御岳隧道周辺地形図



昇仙峡の隧道群09
御岳隧道周辺地形図(昭和44年発行)

帰宅後に隧道群が改修される3年前に当たる昭和44年発行の地形図を取り寄せたところ、何と現在の御岳隧道と同じ位置に同程度の長さの隧道記号が既に描かれていました。となると隧道リストの表記が誤っているという可能性も考えられますが真相や如何に…。


昇仙峡の隧道群08
④御岳隧道 南側坑口






昇仙峡の隧道群10
③能泉隧道 北側坑口

5つの隧道群の中間に位置する能泉隧道(L=67.4m)。隧道リストの隧道の中では、位置的には真ん中の「第三隧道(L=15.2m)、延長だと「第二隧道(L=63.7m)が該当するのではないかと思われます。


昇仙峡の隧道群11
③能泉隧道から②覚円隧道を見る



昇仙峡の隧道群12
③能泉隧道 南側坑口






昇仙峡の隧道群13
②覚円隧道 北側坑口

これまでの隧道は、いずれも旧道・旧隧道が存在し得たようなスペースは存在しませんでしたが、北から4番目の覚円隧道では坑門脇に人一人が通れる程度の平場が発見されました。結果的にこれは昭和47年以前に使われていたと見られる旧道の入口だったのでした。


昇仙峡の隧道群14
覚円隧道旧道の掘り割り



昇仙峡の隧道群15
(旧)覚円隧道 北側坑口

(新)覚円隧道が延長35mという短さなので、旧道上にはあっけなく廃隧道が姿を現しました。閉塞しているため全長は不明であるものの、新隧道の立地から20mに満たない小さな隧道だったようです。それに加えて素掘りであるという特徴から、隧道リスト中の「第三隧道(L=15.2m)」が該当するではないかと思われますが確証はありません。当隧道を含む隧道リストに記載された5つの隧道群は、昭和10年に羅漢寺~仙娥滝を結ぶ県営林道として全通しています。


昇仙峡の隧道群16
北側坑口から廃道を振り返る



昇仙峡の隧道群17
閉塞壁

(旧)覚円隧道は栗子隧道等に見られる円弧状の閉塞壁によって塞がれていました。この裏側には(新)覚円隧道が通っているはず。


昇仙峡の隧道群18
②覚円隧道 南側坑口

(旧)覚円隧道の南口は新隧道の坑門によって押し潰された模様。


昇仙峡の隧道群19
覚円隧道から南側を見る

覚円隧道から南側を見ると片隧道の如く路面に被さる岩盤が目に付きました。道幅が広がる昭和47年以前の難所ぶりが覗える地形の一つです。


昇仙峡の隧道群20
覚円隧道の名前の由来になった覚円峰






昇仙峡の隧道群32
旧デザインの県道標識

高成川北岸には下段に「ROUTE」と書かれた旧デザインの山梨県道標識が残っていました。昭和47年の道路改修時に立てられた物でしょうか。

地図





昇仙峡の隧道群21
県営駐車場前の交差点

新道(グリーンライン)と旧道(通称馬車道)が分かれる県営駐車場前の交差点。ここを旧道へ少し下れば最後となる「①隧道」が口を開けています。


昇仙峡の隧道群22
①隧道 南側坑口

県道7号線の隧道群の中では南端である事から、北端の仙娥滝隧道と同様にリスト中では「御岳隧道(L=23.0m)」か「第一隧道(L=29.5m)」が当てはまるかと思いますが、当隧道はどう見ても長さが10m程度しかありません。
なお、「tunnel web」さんのトンネルリストには甲府昇仙峡線の列外に当隧道と見られる「ミタケダイイチゴウズイドウ:建設年次昭和47年3月、延長10m、幅員6.3m」なる記載がありました。昭和47年3月というのは幅員6.3mへの拡幅を指しているものと見られ、拡幅の際に隧道の全長が短くなったという可能性もあるかもしれません。


昇仙峡の隧道群23
①隧道 北側坑口
歪な断面は拡幅によるものか?



昇仙峡の隧道群24
旧道からヘアピンの①隧道と新道を見上げる


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