阿佐海岸鉄道01
阿佐海岸鉄道地図

阿佐海岸鉄道は国鉄時代に計画された牟岐(牟岐線)~室戸~後免(土讃線)を結ぶ阿佐線の内、昭和55(1980)年に路盤がほぼ完成(昭和60年撮影の空中写真を見ると宍喰川橋梁以外の路盤は完成している)していながら建設・開業が凍結となった海部~甲浦間(8.5km)を引き継いで、平成4(1992)年に三セクとして開業しました。JR四国のローカル線の更に末端部分とあって、初めから鉄道事業としての成算があったとは考えられませんが、案の定開業から20年間に渡って一度も黒字を計上できないまま毎年約5千万円もの赤字を垂れ流し続けているという、とんでもない経営が常態化しています(しかも平成20年には脱線事故を起こして2両しかない車両を1両廃車にしている)。四国に住んでいた頃は大して気に留めてなかったけど最近は廃線の噂もチラホラ聞こえ始めてきたので、今のうちに記録に残しておこうと思い去年の帰省時に様子を見に行ってきました。

阿佐海岸鉄道㈱の公式サイト


阿佐海岸鉄道02
海部駅ホーム

8時10分頃に海部駅に到着すると牟岐線の8時12分発徳島行き普通列車と、阿佐海岸鉄道の8時13分発甲浦行き普通列車が並んで発車を待っていました。乗客は牟岐線はそれなりに、阿佐鉄には3~4人だけいたようです。


阿佐海岸鉄道03
阿佐海岸鉄道の海部駅駅名標



阿佐海岸鉄道04
海部駅前に建立された阿佐海岸開通記念碑

此の地への鉄道誘致に尽力をした先人の偉業をたたえ玆に碑を建立する
昭和48年10月1日 牟岐線 牟岐-海部間開通
平成4年3月26日 阿佐海岸鉄道 海部-甲浦間開通



阿佐海岸鉄道05
町内トンネルを通過する普通列車

まずは定刻通り8時12分に徳島行き列車が発車して行きました。海部駅のすぐ北側には「山のないトンネル」で有名な町内トンネル(L=44m)があります。町内トンネルがこのような状態になった経緯はこちらに詳しく書かれいるのでご一読を。


阿佐海岸鉄道06
海部駅を発車するASA-100形「しおかぜ」

海部~宍喰間(L=6.1km)は那佐湾に面した海岸沿いを大小16ヶ所のトンネルで潜り抜けています。この16のトンネルの中では最初の奥浦トンネルが一番の長さです。


阿佐海岸鉄道07
那佐地区の高架橋

阿佐海岸鉄道は昭和末期に国鉄線として建設された為、設計が高規格で全区間をトンネル、高架、築堤区間が占めており踏切は一つもありません。同じような経緯で生まれた3セクの中には智頭急行や北越急行のように安定した経営をしている所もあるけど阿佐鉄は立地が悪すぎました。そもそも開業するべきではなかったのでは?とさえ思います。


阿佐海岸鉄道08
宍喰駅

宍喰駅は阿佐鉄の本社が入った有人駅ですが1日の利用客数は僅か30人ほど。従業員10人の他に2匹の伊勢海老が駅長を務めてます。


阿佐海岸鉄道09
宍喰駅の券売機

宍喰駅に設置されていた自動券売機は消費増税に伴う運賃改定(阿佐鉄の運賃は据え置きだが、JR線内の運賃が上昇する為)に多額の費用を要する事から3月末に撤去されてしまったらしいです。


阿佐海岸鉄道10
宍喰駅ホーム

今は亡き自動券売機で入場券(大人200円)を購入して宍喰駅のホームに上がってみると、先ほど海部駅で見送ったASA-100形が甲浦で折り返して宍喰止まりの列車として戻ってきました。この列車の乗客はなんとゼロ、運転士は足早に去って行きホームにはASA-100形とうちの家族だけが残されました。実質は回送列車みたいな物だから良いのかもしれないけどリアル空気輸送列車を初めて見ました。

海部8:13→宍喰8:20→甲浦8:24
甲浦8:29→宍喰8:33


阿佐海岸鉄道11
上大海駅の駅名標

宍喰駅の駅名標に並んで聞き覚えのない「上大海駅(大海市)」なる駅名標が設置されていたので、「何じゃこりゃ?」とググってみると当駅で映画版・任侠ヘルパーのロケが行われた際に使用されたものなんだとか。


阿佐海岸鉄道12
宍喰駅内の木製DMV模型

本社が入っているだけあって宍喰駅内には観光案内等の他に木製DMVの模型が展示されていました。DMVとはデュアル・モード・ビークルの略で、線路と道路の両方を走行できる車両の事です。阿佐鉄はこのDMVの導入を検討していて平成24(2012)年には宍喰~牟岐間でデモ走行を実施するにまで至っています(詳細はwikiにて)。


阿佐海岸鉄道20
JR北海道・苗穂工場に展示されているDMV901号車(平成7年製)
【写真:まさ / ピクスタ



阿佐海岸鉄道13
ASA301「のらんけ号」の撮影パネルで記念撮影



阿佐海岸鉄道14
甲浦駅

宍喰駅と甲浦駅の駅間距離は2.4km。その内の大半を阿佐海岸鉄道では最長の長さを誇る第四宍喰トンネル(約1.6km、徳島・高知県境)が占めています。同トンネルを抜けた所が終点の甲浦駅ですが、集落からは外れた不便な谷間の農地に位置していて、いかにも「ここまで路盤が出来てたから終着駅として開業してみました」と言った感じです。


阿佐海岸鉄道15
甲浦駅舎



阿佐海岸鉄道16
甲浦駅ホーム
奥に見えているトンネルが県境の第四宍喰トンネル



阿佐海岸鉄道17
甲浦駅ホームから室戸方面を見る

甲浦駅は一応、室戸・奈半利方面へ延伸できる構造で造られているものの、阿佐鉄の廃止論も出ている現状では実現する可能性は0%と言って差し支えない状況と思われます。甲浦~室戸~奈半利間の阿佐線は着工されてなかったようで、これらの未成線内には遺構は何一つありません。


阿佐海岸鉄道18
昭和40~50年代の地図には阿佐線が予定線として記載されていた



阿佐海岸鉄道19
土佐くろしお鉄道・奈半利駅

阿佐線の西側を引き継いだ土佐くろしお鉄道(平成14年:後免~奈半利間開業)の終点は奈半利駅。一見すると甲浦駅と同様に室戸方面へ向けて容易に延伸できそうな構造ですが、wikiによりますと「室戸方面へ延伸しない前提の構造」なんだそうです。


阿佐海岸鉄道21
阿佐線地図

未成線に終わった甲浦~奈半利間(約50km)には東から順に野根、室戸、吉良川、土佐羽根の4駅の設置が計画されていました。


スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://haisentn.blog41.fc2.com/tb.php/212-7f8cd26a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック